<美容師向け>根元にパーマでボリュームが出ない理由

「パーマをかけてボリュームが欲しい」というオーダーはよくあります。

ですがパーマをかけて根元にボリュームが出ずに毛先ばかりに強いパーマのかかってしまう経験はないでしょうか?

今回は基本的な疑問なぜパーマで根元にボリュームが出ないかについて理由と解決方法を書いていきたいと思います。

根元にパーマがかからないのにはパーマの原理の問題

根元にパーマがかからない、かかりずらいのには理由があります。

かかりにくい要因は

  • ダメージ度合い
  • ロッドに髪を巻き付けるほどかかりが悪くなる
  • 髪の毛が長いと髪の重さでつぶれる
  • セニングの入っている量が違う

この4つが大きな原因です。

これらの要因によって根元がかからずに毛先のカールが強くなるのです。

ひとつづつ解説していきます。

ダメージがあるところにパーマは強くかかる

パーマの薬剤は髪の毛のダメージ度合いが高いほど薬剤の反応が速くなります。

ほとんどの方が根元は健康な髪の状態で、毛先にかけてカラーリングやパーマのダメージ、日々のドライヤーやアイロンのダメージの蓄積で毛先が傷んでしまっています。

結果的に根元から毛先に同じ薬を使用した場合毛先の方が薬剤の反応が速く根元が軟化する頃には毛先はオーバータイム(軟化過多)になるのです。

軟化させすぎると髪の毛は入ダメージ状態になりチリつきや切れ毛が起きて仕上がりが悪くなります。

この状態になると元に戻せません。

ロッドに髪の毛を巻き付けるほど根元のかかりが弱くなる

基本的にパーマをかけるときは毛先から巻きこみます。

つまりロッドの直径に巻き付けられているのは最初の一回転目のみでその後は巻きこみ回数が多くならばなるほど髪の毛の厚み分直径が大きなところに巻かれていくのでパーマのかかりが落ちます。

パーマのウエーブ効率は20ミリを境に急激に落ちていきます。

同じ回転数で同じ薬を同じ時間の場合は10ミリのロッドと20ミリのロッドでかかる強さが変わってきます。

つまり巻き込めば巻き込むほど根元付近の髪の毛は直径が大きいのでかかりが悪いのです。

髪の毛の長さが長いと髪の重さでつぶれる

髪の長さも根元のボリュームに影響します。

ショートヘアの髪とロングヘアの髪では髪の長さが全く違うので髪の毛自体の重量も違います。

ショートヘアの場合は根元にパーマがかかりボリュームは出しやすいのですがロングヘアの場合は通常の方法では根元、特にトップにはボリュームは出ません。

セニングの入っている量が違う

セニング量もかかりに影響します。

セニングが多く入っていると髪の毛が少なくなりますので髪の厚みが減り、パーマのかかりが強くなります。

逆にセニングがあまり入っていないと髪の厚みが多いのでパーマのかかりが悪くなります。

ほとんどの方は根本よりも毛先の方がセニングが多く入っていますので毛先にばかりパーマがかかり、根元の方はかからないといった仕上がりになります。

根元にパーマをかけてボリュームを出したい時にはどうすればいいか?

根元にパーマがかかりにくい原因を解説したのでこれからはそれらの対処法を紹介します。

髪の毛のダメージ度合いを均一にする

髪のダメージ状態を均一にする方法はいくつかあります。

  • カラーリングのリタッチをして根元から毛先までカラーされている状態にする
  • PPTやプレックス剤などの処理剤を毛先に付けて毛先の毛髪強度を上げておく
  • 毛先にパーマ液の効果を減力させるプロテクト剤を付けておく

といった方法で毛先のダメージ度合いを根元に近づけたり、薬の反応を抑えてから薬剤を塗布しましょう。

ちなみにカラー施術直後にパーマをした場合はカラー剤に含まれるアルカリの影響で髪のPHがアルカリ性に寄っていますので薬剤の種類によっては急激に反応したり、還元剤の反応が落ちたりしますのでバッファー処理を行い髪のPHを弱酸性に戻す方が良いでしょう。

<パーマ液に関する記事>

根元巻きをして対応する

毛先から巻き付けた場合毛先に強くパーマがかかるのであれば根元から巻きつける根元巻で対応しましょう。

根元が最も回転数が少ない状態なので根元付近に強くパーマがかかります。

しかし根元巻を行った場合は中間部分がスパイラル状に巻き付けられるため髪の毛の中間から毛先にかけて仕上がりが変わってきてしまう問題点もあります。

髪の毛を短くカットする(レイヤーを入れる)

髪の毛の硬さにもよりますがおよそ15cm程度の髪の長さであれば根元にボリュームが出ます。

トップを短く切り込むことでロッドに巻き付ける回転数を減らしたうえで、髪の長さによってつぶれてしまう現象を防げます。

ロングヘアでトップの長さを切り込めない場合はプリカール(根元パーマ)という方法がありますのでそちらで対応するのが良いでしょう。

根元からセニングを入れる

パーマをかける際にはセニングの入れ方も変える必要があります。

セニングを根元から入れることで根元から毛先まで均一な量感にしてあげるとかかりにムラがなくなります。

質感もよくなるのでお勧めです。

詳しくは別の記事で書こうと思います。

根元にパーマをかけるためのまとめ

根元にパーマがかかりにくい理由をまとめると

  • ダメージ度合い
  • ロッドに髪を巻き付けるほどかかりが悪くなる
  • 髪の毛が長いと髪の重さでつぶれる
  • セニングの入っている量が違う

この四つが主な原因です。

そして対処方法は

  • 処理剤を使用して根元と毛先の毛髪強度を均一にする
  • カラーのリタッチを先に行い根元と毛先のダメージ度合いをそろえる
  • 根元巻きをする
  • トップにレイヤーを入れて髪の毛を短く切っておく
  • セニングを根元から入れ根元から毛先の量感をそろえる

これらの方法を行う事で、ある程度根元からボリュームを付けることが出来ます。

今までうまくいかなかった方はこれらの方法を意識してカットとパーマをしてみてください。

次回は記事の途中で出てきたプリカールについて書いていきたいと思います。