カットウイッグをヘアカタログみたいなスタイルにカットしたいけど、
何か上手くいかないんだよね…
カットウイッグを人間と同じようにカットしても
変になるのは理由があるんだよ!
美容師のアシスタントさんでカットウイッグを使って基礎的なレッスンを終えたらおそらくヘアカタログなどを見てコピーカットの練習を行うのではないでしょうか?
私もアシスタント時代やスタイリストになりたての頃はよくカタログのスタイルをマネしてカットの練習をしていたものです。
しかし、カットが終わって自分の切ったウイッグとカタログの仕上がりがなんか違うような感じがいつもしていました。
何年もカットをしてきて切り倒してきたカットウイッグの数は山のようにあります。
ウイッグの購入金額を考えるとゾッとします…
その中で私なりにカットウイッグを人間のヘアスタイルのように切る方法やポイントを発見しましたので今回は
『ウイッグカットを人間のヘアスタイルのようにかわいく切る方法』
を記事にしてみようと思いました。
カットウイッグで人間に近づけるためのポイント
ウイッグと人間との違いを知ろう
カットウイッグを切った際になんか変な感じがするのを解決するにはカットが下手とかの以前に
人間とウイッグの素材(骨格や髪質、毛量など)がどのように違うかを知らなければなりません。
今回使用するカットウイッグは「IP200S」というカットウイッグを使います。
このウイッグは顔に目や眉毛、唇の色がない
いわゆるのっぺらぼうウイッグです。
顔立ちによるイメージの違いを排除できるので練習にはお勧めです。
人間とカットウイッグの違いをまとめると
- 骨格が人間と違う
- 顔回りなどのヘムラインに産毛がない
- 髪の毛の量が均一に生えている
- 耳に髪の毛がかけられない
よく観察するとこのような違いがあります。
一つずつ解説していきましょう。
骨格が人間と違う
当たり前のことですが人間と骨格が違います。
ウイッグの骨格と人間の骨格を比べると
- 全体的に顔が小さい
- あご先からおでこまでの距離が人間と比べて短い
- 耳から頭頂部にかけての距離が短い
- 襟足の生え際に位置が高い
といった違いがあります。
このような骨格を人間と同じ感覚でカットしていくとどうなるか?
『レングスの短い横広がりの仕上がりになります』
レングスの短いボブをカットするとわかるのですが、思っているより横広がりの仕上がりになってバランスが悪くなります。
顔回りなどのヘムラインに産毛がない
ウイッグには顔回りに産毛がありません、その代わりにしっかりした髪の毛が埋め込まれていますのでどうしても顔回りが重たく野暮ったい印象に仕上がります。
その結果、人間のヘアスタイルの様な顔回りの繊細な髪の雰囲気が出ずらいのです。
髪の量が均一に生えている
人間の髪の毛は場所によって毛量が異なります。
一般的には耳後ろや襟足、後頭部などには髪の毛が多く手もみあげや前髪頭頂部は髪の毛が少なく生えている人が多いでしょう。
ウイッグの場合は全体に均一に生えていますのでこの点もカットの際には注意する必要があります。
耳に髪の毛がかけられない
最後にウイッグには耳はあるのですが耳に髪の毛がかけれないようになっています。
ヘアカタログやインスタの画像を見てもらうとわかるのですが、耳に髪の毛をかけているスタイルはとても多いです。
髪の毛を耳にかけることで正面から見た時のヘアスタイルに軽さが出たり空間が出来て印象が変わります。
耳にかけてない状態では見た目は全然変わってきます。
左の画像は耳に髪を耳にをかけていない状態、右は耳に髪をかけた状態
同じモデルさんで同じ日に撮影していますが印象は全然違います。
カットする際の注意点
次にカットする際の注意点を書いていきます。
やみくもにカットせずに今から解説するポイントを抑えると仕上がりは変わってくるでしょう。
骨格の縦横比の比率を考える
骨格の違いは先に説明しましたが、ヘアスタイルをウイッグ出来る際は参考にするヘアスタイルの画像とウイッグの骨格の縦と横の比率をしっかり見てから切り始めてください。
多くのアシスタントの方がカタログのモデルさんのあごの位置や耳の位置花の位置を見て長さを決めてカットしていきます。
しかしそのままウイッグに当てはめてしまうとヘアスタイルのバランスが悪くなりますので
- ウエイトの高さはヘアスタイル全体のどの位置なのか?
- 前髪の幅はレングスに対してどの割合なのか?
で判断するとよいでしょう。
ヘアスタイルは長めに切るのがポイント
先の内容にも似ていますが全体的に長めにカットするとよいでしょう。
ウイッグは縦横のバランスが人間より縦の比率が低いので長めにカットするとヘアスタイル全体のバランスが良く見えます。
レングス設定は長めにしておくとよいでしょう。
セニングの入れ過ぎに注意する
ウイッグの場合はセニングの入れ過ぎには注意しましょう。
質感が悪くなったり、セニングの入れ過ぎでボリューム感がなくなってしまうかもしれません。
ウイッグは人間と比べて毛量自体は少なめですので必要な部分のみセニングを入れれば十分です。
セニングでフォルムを作るのではなくベースカットである程度フォルムが切れるようになっていなければカットは上手くなりません。
実際にウイッグをカットしていくプロセスの解説(画像付き)
ウイッグにベースカットをする
ノーテンションでカットする
人間をカットするときも同様ですがノーテンションでカットしていきます。
テンションをかけすぎると乾かした時にカットラインが強く出すぎてしまう事や長さが変わってしまいますので引っ張らずに切っていきましょう。
ベースカットはポインティングカット(チョップカット)で切っていく
ハサミを入れる時にはブラントカットせずにポインティングカット(チョップカット)で切っていくとカットラインが出すぎずに柔らかなラインでカットできます。
前髪は長めにカットする
前髪は人間でカットするときと違い少し長めで切っておくとよいでしょう。
ウイッグは前髪の毛量が多くクセもないですし、意外とおでこが狭いので短くカットしてしまうと流れる前髪にならないので目にかかるくらいの長さ出来る事をお勧めします。
ベースカットを切り終えた状態
ベースカットを切り終えた状態です。
ドライした状態はこちら
このままでは毛量が多く野暮ったい印象ですのでセニングを入れていきますがその前に人間の様な産毛を顔回りに作っていきます。
顔回りに産毛を作る方法
顔回り1.5cmをブロッキング
顔回り1.5cmから1センチをブロッキングしていきます。
この範囲の髪が多いので顔回りが重たい印象になります。
毛量調節のためにスライドカットする
先程とったセクションにセニングを入れていきます。
この時にセニングシザーで軽くすると短い髪が立ってきますのでスライドカットをして髪を先細りにしていくと良いでしょう。
顔回りにスライドカットを入れた画像はこちら
顔回りがすっきりしました。
この処理を行った後に全体にセニングを入れていきます。
全体にセニングを入れていく
セニングは基本チョップカットのみでセニングする
ウイッグの場合は基本的にチョップカットのみで十分軽い印象に持っていく事が出来ます。
引き出したパネルの毛先2から3センチにチョップカットを入れていきましょう。
ちなみに長めのスタイル(ミディアム以上)の長さであればセニングはほぼ入れなくてもい十分毛先が軽い仕上がりになります。
毛量が極端に多いところは根元付近からセニングする
耳後ろなどの毛量が多い部分は根元からセニングを入れて量をしっかりとっておきます。
中間部分にセニングを入れるよりも少ない手数で多くセニングを入れることが出来ます。
セニングを入れた状態がこちら
毛先のみのセニングでも柔らかい印象になっています。
この後に耳にかけれるように工作の時間です。
ウイッグに髪の毛をかけられる耳を作る
カッターナイフで耳周りを切る
耳周りにカッターナイフで切り込みを入れると耳にかける部分が作れます。
ウイッグ自体はやらかい素材ですので簡単に切れますが手を切らないように注意してください。
こんな感じで耳に髪をかける隙間が出来ました。
耳に髪をかけてみてバランスを見る
先程切った耳に髪の毛をかけてみて正面、サイドなどから見てバランスを確認してください。
耳にかける分量で印象は変わってきます。
仕上がり
人間にカットしたときのような自然なフォルムと顔回りの軽さが出来上がりました。
今回はアイロンやスタイリング剤はつけていませんがセットすればよりかわいい印象のスタイルにしていく事が出来ます。
ウイッグを人間のヘアスタイルに近づける方法まとめ
ウイッグをカットする際のポイントを整理すると
- 骨格が人間と違い縦横の比率は縦が短めである
- 顔回りに産毛がなく毛量が均一である
- 耳にかける部分がない
といったウイッグの特徴があり
- カットする際はウエイトポイントとレングスに対しての比率を考えてカットする
- 全体的に長めにしておく方が仕上がりが人間のヘアスタイルに近づく
- セニングはチョップカットと毛量がたまりやすい部分のみ根元からセニングを入れる
- 顔回りにスライドカットで産毛を作っておく
- ウイッグの耳の部分にカッターナイフで切れ込みを入れる
といった工夫をすれば人間に近づけることが出来ます。
皆さんも今回紹介した方法をぜひ試してみてください。
それではまた!!
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